ぬいぐるみ。
嫌いなわけじゃないけれど蒐集するわけでもない。
クレーンゲームの出始めの頃に
アンパンマンやら競走馬やらをいくつか取ってみたけれど
いつの間にやら手元からなくなった。
あ、一頭だけまだいるな。
オグリキャップを無理やりメジロマックイーンに変えたもの。
メンコ(頭巾)と鞍をペイントマーカーで塗り替えて。
秋の天皇賞で一番人気、一位入線したものの
走路妨害で下位に降着。東京競馬場で生観戦した。
スタンド席のすぐ後ろにいたおっちゃんが
ゴールに真っ先に飛び込んだマックイーンを見て
「今日はここまでまったくダメだったけど、
(このレースで)やっと取り戻したよ!」
と隣りのおっちゃんに話し、安堵していたのもつかの間、
場内アナウンスが流れ、当たり馬券が外れ馬券に早代わり。
言葉をなくしたおっちゃん。背後の空気、重かったなあ。
かく言う私はどっちにせよ外れていた。
閑話休題。
この二つのぬいぐるみ、クレーンゲームでとったわけじゃありません。
二つとも、以前勤めていた会社の同僚の女性にいただいたもの。
外出先から帰ったら、デスクの上にちょこんと置いてありました。
私の名前と「ガンバ!」と書かれた
メンディングテープが張られた状態で。
ヒヨコとパンダの時期は少しズレてたな、確か。
別に恋愛話や深イイ話が絡むわけでもなく、
「オマエなんか、まだまだヒヨッコだ!」とか
「オマエなんか、パンツをはいたパンダだ!」とか(意味不明)
何かしらのメッセージ性や寓意を含んでいるわけでもありません。
たぶん、たまたま手元にあったもので
あげるのに惜しくなくなったものを何となくくれたんでしょう。
心優しく、センスの良い後輩女性です。
その後私のかみさんとなる同期入社社員と同じ部署。
やたら多忙な毎日を送っていた私の身体を
二人して気遣ってくれていたんですな。
このぬいぐるみを見て思い出すのは、まさにその頃の忙しさ。
ピーク時は、朝9時出社(たびたび遅刻していたが)で
得意先と取引先と自社をぐるぐるまわって、
深夜2時近くまでひたすら仕事し続ける日々。
昼食をとる暇すらなく、一日一食が多かった。
朝抜き、日中食べられず、夜十時過ぎに会社で食べるか、
それすら叶わず、深夜の帰宅後に食べるかのスタイル。
日曜は割ときちんと休めていたけれども。
これじゃカラダにいいわきゃないよ、
わかっちゃいるけどやめられない。てな感じ。
という不健康生活に耐えられなくなり、無事退社。
このぬいぐるみをもらってから1年くらいたった頃かなぁ。
その後も後輩女性とは、かみさんを介して何度もお会いしておりますが、
おそらく、これを私にくれたことを覚えていないのではなかろうか。
もらったほうも、一人苦笑した後すぐに再び仕事に戻り、
それからは単なるオブジェとしか認知してなかったけれども。
会社員時代の私物はほとんど処分してしまい、
手元に残るのは当時の手帳と給料明細とこのぬいぐるみくらい。
20代の中盤を「全力青年」で駆け抜けた私の記憶を呼び起こす
貴重なキーアイテムと言える。
たまにはこれと一緒に遊んで……みないな。
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by umit20070209
| 2009-02-09 23:25
| お宝